試験的に書いてみたwタkト。
サイトに載せるほどでもないような気がしたのでこっちに…。つづきで読めます。
あなたに敵わない
私よりも素敵な人なんて、彼の周りには沢山いる。彼に寄せられた好意を思うと私の強さなんてどうってことない。それでも私は、ワタルさんが好きだ。ワタルさんの優しさに触れると泣きたいくらい嬉しくなって、その優しさを独り占めしたくなる、意地悪な想いに駆られる。そういう気持ちはよくないとわかっているけど、ワタルさんを前にして、私の決意など限りなく無力だ。
「コトネちゃん」
呼ばれて、彼のいるほうの耳が熱くなった。今日のワタルさんはいつもつけているマントをつけていない。いつもより距離が近いのはそのせいかもしれない。お酒が入った大人たちの熱気を避けるように二人で会場を抜け出した。当てもなくゆっくりと歩いた。今日、私はワタルさんに勝った。
「今日のバトルは、本当によかったよね」
私に話しかけるというよりも、自分に言い聞かせているようだった。私が、「そうですね」と言うとワタルさんは微笑んだ。
「本当にチャンピオンにならないの? せっかく俺に勝ったのに」
「いいんです。本当は私、図鑑を埋めるのが目的だから」
ワタルさんはおもむろに立ち止まると、ポケットからネックレスを取り出した。ゴールドのネックレス。ハートのチャームがワタルさんの手の中で輝いている。
「これからカントーに行くんだろ?」と言いながらかがんで、私の首にネックレスをかけてくれた。ひんやりとしたチェーンが首にあたって緊張した。目の前にワタルさんの顔がある。ワタルさんは悪戯に笑った。彼は私よりずっと年上なのに、その笑い方は同い年の男の子みたいだった。
「あの……」
「何?」
「私よりワタルさんのことを想っている人って、いっぱいいますよ……」
「そんなことないよ」
「だって、イブキさんとか……」
「俺が好きなのはコトネちゃんだよ」
チェーンに触れているワタルさんの手はすごく熱くて、私の首に、ワタルさんの手の痕がついてしまえばいいのにと思った。そしてそれがずっと消えなければいいのにとも思った。永遠に、私にワタルさんが残ればいいのに。
「これ、お守りだからね」
優しく、ワタルさんが言った。首に触れていた手はするりとポケットの中に逃げてしまい、私は熱が逃げないようにワタルさんの手が触れていた部分を自分の手で押さえた。ワタルさんは今何を考えているんだろう。できれば私と、大体同じようなことを考えていてほしい。だから勇気を出して、「たまにこうやって会えますか?」と聞いた。ワタルさんは「電話番号を交換しよう」と言って、また笑った。
END
俺のハートを預けておくよってコトネ。(ダサい)
初めめっちゃ長くなる予定だったんだけど、そんなに長いの誰が読んでくれるんだよって思ってやめました。しかし書きたいところだけ掻い摘んでもいまいち面白くない罠。いかに端折るかっていうのがむつかしいわけですね。うーむ。
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